ホームヘルプサービス事業停止
2023.07.06

 本法人は、平成11年に訪問介護事業に参入し、平成29年に事業停止を決定した。

 本来、国が推奨する地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う事業が「訪問介護」だと思っているが、平成16年以降の「介護給付適正化事業」で特に生活援助に厳しい目が向けられ、サービス内容の範囲や提供時間が定められた。

  まず、最も問題なのは単体の事業として経営が出来ないことで、その最たる理由は介護報酬の単価が低いことである。複数の事業所を持ち、赤字を補填して事業を継続している事業所も多く存在する。さらに人材不足が拍車をかけ、新しい人材の確保は困難を極めている。在籍する職員の年齢も上がり、若い人材の確保が今後の課題だと思う。

 訪問介護事業に従事する職員は、利用者からの難題を解決し、時にはハラスメントを受けながらも奮闘するスキルの高い職員である。今現在の若い世代が、このような状況に足を踏み入れることは困難であろう。事業所の所要定員を満たせない事業所もあり、今後の介護人材不足は深刻である。

 高齢者人口の増加が激しい現在、2000年から始まった介護保険制度における在宅サービスは転換期に来てると思う。今後は、「介護業界の人材不足の解消」と「生計が成り立つ事業」に好転することを期待したい。

当時のホームヘルプサービス事務室