理事長コラム
門司誠一の思いをつづります。
-
2026.05.01
『遺教経(ゆいきょうぎょう)』は、お釈迦様が八十歳を迎え、入滅を前にして最後に弟子たちへ説かれた教え、いわば御遺言ともいうべき経典であります。二月十五日、その生涯を終えられる直前に示されたこの教えには、人として、また集団の中で生きる者としての在り方が簡潔に、そして深く説かれています。
遺教経に「知足之人は貧しといえども富めり」とあります。足るを知る者は、たとえ物質的に恵まれない状況にあっても、心は豊かである――この言葉には、人としての生き方の本質が、簡潔に、そして深く示されております。
現代は、豊かさと利便性を追い求める時代であります。私たちの生活は大きく向上いたしましたが、その一方で、「まだ足りない」と感じる思いに心がとらわれる場面も少なくありません。外側の充実に比して、内面の充足が見えにくくなっているとも言えるのではないでしょうか。
こうした時代にあって、「知足」の教えは、私たちに大切な視点を与えてくれます。足るを知るとは、決して現状に甘んじることではなく、今ある環境やご縁の尊さに気づき、その中で誠実に務めを果たしていく姿勢であります。
社会福祉の現場においても、この心の在り方は極めて重要であります。制度や設備の充実はもちろん欠かせませんが、それ以上に、利用者お一人おひとりに対する敬意と、寄り添う気持ちが何より大切であります。限られた条件の中であっても、心を尽くした関わりは、確かな信頼として積み重なっていくものと考えます。「貧にして富む」とは、まさにこのような内面的な豊かさを指しているのでしょう。目に見える豊かさだけでなく、心の充実をいかに育んでいくか、その問いを、私たちは常に大切にしたいものです。
日々の業務の中でこそ、「足るを知る心」に立ち返りながら、一つひとつの実践を丁寧に積み重ねていく。その姿勢が、組織としての信頼を築き、より良い福祉の実現につながるものと信じております。『知足之人は貧しといえども富めり』という言葉を胸に、これからも心の豊かさを大切にした福祉の実践に努めてまいりたいと存じます。

臨済宗南禅寺派 徳昌寺(鳥栖市神辺町) 
臨済宗南禅寺派 徳昌寺 本堂 -
2026.04.06
令和8年4月1日付にて、当法人における施設運営体制の見直しを行い、人事異動を発表いたしました。
これまで、特別養護老人ホームひまわりの園とケアハウスコスモスの園の両施設長を兼任し、長年にわたり法人運営の中核を担ってまいりました本山光夫施設長は、今後ケアハウスコスモスの園の施設長として、より一層専門性を発揮し、入居者一人ひとりに寄り添った運営に専念してまいります。
一方、特別養護老人ホームひまわりの園の新たな施設長には、永松丈幸施設長が就任いたしました。永松施設長は、平成16年の施設創設時より生活相談員として勤務し、地域包括支援センターでの経験を積み、さらにケアハウスコスモスの園副施設長として現場と経営の双方に深く関わってまいりました。その歩みは、まさに当施設とともに成長してきた歴史そのものであります。
長年にわたり培ってきた経験と信頼、そして何より利用者本位の姿勢は、新たな役割においても大きな力を発揮するものと確信しております。
社会福祉法人を取り巻く環境は、少子高齢化の進展や人材確保の課題など、年々厳しさを増しております。しかしながら、こうした時代だからこそ、現場を熟知した人材によるリーダーシップと、組織としての柔軟な対応力が求められます。
本山施設長、永松施設長それぞれが新たな立場において責務を果たし、両施設が相互に連携しながら、地域福祉のさらなる向上に寄与していくことを期待しております。
今後とも、地域の皆様の信頼に応える法人運営に努めてまいりますので、変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
-
2026.04.01
令和8年度のスタートにあたり、辞令交付式を執り行いました。本年度は、新人職員3名、中途採用者2名、そして昇進者3名を迎えることとなり、組織として新たな一歩を踏み出す節目の機会となりました。
まず、新人職員の皆さんには、数ある職場の中から本法人を選んでいただいたことに心から感謝申し上げます。社会福祉の現場は、決して容易なものではありません。しかし、人の人生に深く関わり、支え、喜びを分かち合える大変意義深い仕事です。日々の経験を大切にし、失敗を恐れず、一歩一歩成長していっていただきたいと願っています。
また、中途採用で加わられた皆さんは、これまでの経験と知識を活かし、本法人に新たな風を吹き込んでいただく存在です。異なる環境で培ってこられた視点は、組織にとって大きな財産となります。遠慮することなく意見を発信し、ともにより良い福祉の実現を目指していきましょう。
そして、昇進された皆さんには、これまでの努力と実績に敬意を表するとともに、今後は組織を支える中核としての役割を期待しています。立場が変わることで求められる責任も大きくなりますが、周囲を導き、後進を育てる存在として、さらに力を発揮していただきたいと思います。
社会福祉を取り巻く環境は、少子高齢化の進展や人材確保の課題など、年々厳しさを増しています。しかし、このような時代だからこそ、私たちの果たすべき役割は一層重要になっています。「人を支える」という原点を忘れず、職員一人ひとりが誇りと使命感を持って取り組むことが、地域から信頼される法人づくりにつながります。
本日、新たな一歩を踏み出した皆さんとともに、これからの一年を実りあるものにしていくことを心から期待しています。それぞれの立場で力を尽くし、支え合いながら、より良い福祉の実現に向けて歩んでまいりましょう。

-
2026.03.31
令和7年度の終わりを迎えるにあたり、この一年の歩みを厳粛な思いで振り返っております。少子高齢化の一層の進行、労働力人口の減少、さらには社会保障制度を取り巻く環境の変化など、社会福祉をめぐる状況は年々その厳しさと複雑さを増しております。そのような中にあって、当法人の高齢者福祉並びに保育事業が、地域の皆さまのご理解とご支援のもと、着実にその使命を果たし得ましたことに、理事長として深甚なる感謝の意を表するものであります。
高齢者福祉の分野においては、超高齢社会の深化に伴い、単なる介護の提供にとどまらず、ご利用者お一人おひとりの尊厳と人生に真摯に向き合う姿勢がこれまで以上に求められております。当法人におきましては、「その人らしい生活」の実現を根幹に据え、安心と信頼に支えられた生活環境の構築に努めてまいりました。地域包括ケアの理念のもと、関係機関との連携を一層強化し、地域に根差した福祉の実践を堅持してまいります。
一方、保育の分野においては、少子化の進展という社会的潮流の中にあっても、子どもたち一人ひとりの存在価値は決して揺らぐものではありません。次代を担う子どもたちの健やかな成長を支える責務は、ますますその重みを増しております。保護者の皆さまとの信頼関係を礎とし、安全かつ質の高い保育の提供に努めるとともに、子どもたちが未来に希望を抱き、たくましく成長していくための環境整備に不断の努力を重ねてまいりました。
社会福祉法人の本旨は、制度の枠組みを超え、地域社会における「共生」の実現に寄与することにあります。高齢者福祉と保育という二つの分野を有する当法人だからこそ果たし得る役割として、世代間のつながりを育み、相互に支え合う地域社会の形成に寄与していくことが重要であると認識しております。
令和8年度に向けては、社会の要請に的確に応え得る組織として、より一層の質の向上と持続可能な運営体制の確立に努めてまいる所存であります。職員一人ひとりが専門職としての自覚と矜持を持ち、不断の研鑽を重ねながら、より高い次元での福祉の実現に邁進してまいります。
結びに、これまで当法人の事業運営に対し多大なるご理解とご協力を賜りましたすべての皆さまに、改めて深く御礼申し上げますとともに、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

