近年、電気料金は「高騰」と言うより「暴騰」している。平成23年3月に発生した東日本大震災により、福島第一原子力発電所の事故を契機に九州電力が保有する原子力発電所は停止した。すると平成24年11月に九州電力から「電気料金値上げのお願いに関する資料」 が送付されてきた。資料によると年間電気料金14,988,000円を16,899,000円へ値上げするとの内容で、翌年からは何と1,912,000円の値上げである。
令和4年10月に九州電力の担当者が当法人を訪れ、電気料金の提案を持参した。ご提案との記載はあるが、実際は一方的な値上げ勧告である。
値上げの背景の1点目が、「玄海原子力発電所停止に伴う供給力不足は、火力発電等で補完し、発電のために必要な燃料調達コストが新型コロナウイルスからの経済回復やロシア・ウクライナ情勢等の影響により、大幅に上昇している状況である。」、そして2点目が「旧一般電気事業者は市場の流動性向上や価格抑制などの点から、自社発電量の一定量を市場へ卸し、また逆に市場から調達する(買い戻す)取り組みを実施していますが、市場価格の高騰に伴い市場からの調達コストも増加している状況です。」と記載されている。
そして、1年間の本法人の現行電気料金15,793,844円のところ、提案金額として21,695,195円を提示される。現行からの値上げ額は5,901,195円である。私ども事業者は、使用した電気は支払う義務があるが、あまりにも値上げ額が大きすぎて言葉も失い、佐賀県と鳥栖市から物価高騰に係る補助金をいただき難関を突破したが、今年も心配は尽きない。
他社の事情であるが、自社所有の物件の売却、人件費削減策、テレビCM等の事業見直しを明示して値上げのお願いをすれば私ども事業者や利用者は値上げに納得するであろう。「提案」という言葉巧みな値上げ勧告書には赤字で「本資料につきましては、社会福祉法人健翔会さま限りでお願いいたします。」との記載があり、「他の法人とは値上げ金額に相違があるのか?」とも受け取れる。
因みに、平成24年11月の提案資料には、社長名は記載されているが社長印はない。利用料金値上げのお願い文書を見かける機会はあるが、代表者印がないのは記憶がない。昨年の11月の提案資料は社長名もなくパワーポイントで作製されていた。競争もなく、他社へ乗り換えられない状況であるからこそ、お客様から対価をいただく謙虚な姿勢が必要だと思うが・・・
中国電力・九州電力・中部電力は関西電力との間で、事業者向けの電力販売をめぐり顧客を奪い合わないよう申し合わせるなどカルテルを結んでいたとして、経済産業省から電気事業法に基づく業務改善命令が出された。今後の我が国の電力自由化はどこに向かうのか不透明である。