高齢社会の人生設計
2023.08.02

 

 国民皆年金が議論された1950年の平均寿命は男性65歳、女性は70歳であり、その前提で厚生年金の60歳支給が決まったと思われる。2023年の平均寿命は、男性 81.05年、女性87.09年と大きく伸び、当時と比較すると約15年前後長生きできるようになった。しかし、年金の支給開始年齢は65歳に引き上げられただけである。年金制度の維持が困難になったのは少子化にスポットが当てられているが、長寿化に対応ができてない。近年、長寿化に対応するための雇用形態として定年延長となっているものの、65歳の平均余命は約20年である。退職後の悠々自適の生活はもはや夢である。

 総務省は2023年4月12日に昨年10月1日時点での65歳以上の高齢化率は29.0%となっていることを最新の人口推計で公表し、総人口は前年より556,000人少ない124,947,000人、12年連続の減少となった。一方で65歳以上の人口は前年より22,000人増加の36,236,000人で、75歳以上の人口はより大幅増加傾向にあり、19,364,000人である。

 日本は稀にみる長寿社会を実現した国として、医療・介護・年金等の社会保障制度をより充実させ、若者にも高齢者にも優しく手を差し伸べられる国となることを期待したい。