今年も「危険な暑さ」という言葉を耳にしない日はありません。かつて夏は「暑い季節」でしたが、今では命を守ることを最優先に考えなければならない季節へと変わりました。気象庁では最高気温30℃以上を「真夏日」、35℃以上を「猛暑日」と呼びますが、猛暑日という言葉が一般に使われるようになったのは比較的新しく、近年の気候変動を象徴する言葉でもあります。今年は厳しい暑さを受けて、40℃以上という極めて危険な暑さを示す言葉として、気象庁が新たに「酷暑日」と言う予報用語を制定しました。近年は真夏日や猛暑日の年間日数が全国的に増加する傾向にあります。
私が子どもの頃、夏休みは朝の涼しい時間に宿題を済ませるのが当たり前でした。ラジオ体操から帰り、「涼しい午前中のうちに宿題を終わらせなさい」と親に言われたものです。当時は午前中であれば窓から風が入り、扇風機だけでも何とか過ごせました。午後になると川遊びや虫取り、野球に夢中になり、夕方には家路につく。そんな夏の日常がありました。
スポーツも同じです。私が若い頃のゴルフでは、帽子をかぶらずプレーする人が珍しくありませんでした。炎天下でも背筋を伸ばし、汗を拭きながら18ホールを歩き切ることが美徳のような時代でした。しかし、それは当時の気候だからこそ可能だったのでしょう。今では日本ゴルフ協会も、帽子の着用や日傘の活用、十分な水分・塩分補給を呼びかけています。無帽でのプレーは、もはや根性や礼儀ではなく、熱中症の危険を高める行為になり得ます。

一方で、昔から受け継ぎたい知恵もあります。「涼しいうちに仕事を済ませる」という生活の知恵です。早朝の散歩、午前中の買い物、庭仕事、勉強や読書もできるだけ朝に済ませる。体への負担を減らす先人の知恵は、むしろ今こそ見直す価値があります。
暑さは自然現象ですが、その暑さへの向き合い方は時代とともに変わります。私たちは過去を懐かしむだけではなく、新しい環境に合わせて知恵を更新しなければなりません。一見すると些細な変化ですが、その積み重ねが命を守り、健康を守ります。
昔を知る世代だからこそ、時代の変化を素直に受け入れる姿勢を若い世代へ伝えていきたいものです。それこそが、本当の意味で経験を未来へ生かすことではないでしょうか。

